小さな会社の経営者や店舗経営者の多くがやってしまっている間違った常識があります。
それは、値下げをしてお客さんを集めるということです。
確かに値下げをして一時的にお客さんは集まるでしょうが、果たしてその後の経営は安定するのでしょうか?
答えは、「ノー」です。
なぜなら、値下げをして集めたお客さんは、あなたの会社やお店のことを価格で判断するようになっているからです。
せっかく集めたお客さんも、価格が判断基準になれば、「あっちの店が安い」「こっちの店が安い」とあなたのお店の固定客には一向になってくれません。
そうなると当然、売上は安定せずに、値下げした分だけ利益を圧迫してしまいます。
ですから、値下げは自分で自分の首を絞めているようなものです。
あなたが会社に利益を残し、安定した経営を望むのであれば、最初にやるべきことは「値下げ」ではなく「値上げ」なのです。
今回は、値上げをして利益を増やす簡単な3つの方法をお伝えします。
その1.購買点数を増やす
まず初めにやるべきことは、お客さんが1度の買い物で1点だけしか購入していないのであれば、2点3点と購入してもらうことです。
これができれば、1取引あたりの顧客単価が上がるので、実質的な値上げと言えます。
それでは、どうやって2点3点と購入してもらうのか?
あなたも日常の買い物で、単価を上げさせられていることがあるはずです。
例えば、ハンバーガー店のケースで考えると、ハンバーガーを買うときに「ご一緒にポテトはいかがですか?」と勧められます。
これも客単価アップ、実質的な値上げです。
1取引あたりの価格が上がっているわけです。
たとえ全員が購入するわけでなくても、「ポテトいかがですか?」と声をかけた人のうちの10%でも購入してくれれば、平均の客単価が上がっていることになります。
あなたのビジネスにおいても、「ご一緒に○○はどうですか?」と関連商品を勧められるものはありませんか?
一定確率で購入してくれるので、その分、平均単価があがることになります。
その2.価格をアップする
次にやるべきは、文字通り商品やサービスそのものの値段を上げることです。
「値上げ」と聞くと、抵抗感のある方が多いと思います。
そこでオススメするのが、「松・竹・梅」のメニュー設定をつくることです。
もちろん人間の心理から、多くの人は「竹」を選びます。
ですから、「竹」の値段を今より少し上げておくことも大切なポイントです。
そしてこれもまた、一定の確率で1番高い「松」を購入する人がいます。
高額な「松」が売れた分だけ、平均単価が上がり、実質的な値上げというわけです。
この「松・竹・梅」の良いところは、「値上げしました」と言わなくてもよいところです。
「松・竹・梅の3つのコースから選んでください」と言うだけで、結果的に平均単価があがります。
「松・竹・梅」の価格設定により、価格をあげても大丈夫という感覚をつかめたら、さらなる「上位コース」を作ってみるなど、値上げすることに積極的に取り組んでみましょう。
その3.本来の価値を伝える
あなたの会社やお店で取り扱う商品やサービスの価値は、お客さんにしっかりと伝わっているでしょうか?
残念ながら、ほとんどの会社やお店が商品やサービスの本来の価値を伝えることができずに、その価値よりも低い価格で販売してしまっています。
すなわち、本来1万円で売れるものを5000円で売ってしまっているということです。
本来の価値を伝えることができれば、6000円や7000円、1万円でも売れるようになっていきます。
1万円でも売れるということは、お客さんが1万円でも価値を感じているということです。
ですから、あなたがやるべきことは、「本来の価値を伝えること」です。
「使えば分かる」「食べたら分かる」は、傲慢としか言いようがありません。
本来の価値をしっかりと伝えきることこそが、社長であるあなたの仕事です。
具体的には、どのような原材料を使っているのか、どのような製造工程で作っているのか、チラシやホームページなどで社長の顔が見えるようにしておく、開発時のストーリーなど、これらはすべて価値を伝える活動です。
現在あなたが取り扱う商品やサービスで、「本来の価値が伝えきれていないものはないか」を確認してみてください。
値上げをする意味
以上、値上げの3つの方法を活用して利益を増やすことが、さほど難しいことではないことを感じてもらえたのではないでしょうか?
会社の存続やあなた自身の報酬、そしてスタッフの給料、その他やりたいことを実現させてくれるのは売上ではなく利益です。
利益重視の経営をするためには、まずは値上げを実施することです。
繰り返しますが、お客さんを増やす前に「値上げ」を最初にするのです。
値上げは、決して暴利をむさぼるということではありません。
大切なことは、お客さんに商品やサービスの本来の価値を伝え、納得してもらえる値頃感をギリギリまで、そしてできる限り価格を上げていくということです。